以前、「スキー場に行くたびにスキー人口が減少していることを痛感する。」で書いたように私は、年に何度かスキー場に行きます。先日、とあるスキー場でスノーボードをしていて、転倒した際に頭を地面にぶつけました。幸い怪我はありませんでしたが、ちょっとヒヤッとしました。過去に仕事でスキーやスノーボードの事故による頭部外傷、頸髄損傷の患者さんを担当したことがあります。多くの患者さんが滑走中の転倒で頭部や頚部を強打したことによって受傷しています。そういった方々を仕事でみていたにも関わらず、自分もスノーボードをする際にこれまでヘルメットを着用していませんでした。今回を機にスノーボードをする際にヘルメットを着用しようと思ったのですが、そもそもスキーやスノーボードの事故ってどれくらいの件数があって、どの程度のケガになるのかなどが気になったので、少し調べてみました。
受傷者数や各種割合の調査結果
全国スキー安全対策協議会という組織のサイトにスキー場での傷害に関する報告があります。この全国スキー安全対策協議会は、サイトによれば、以下のことを目的として設立されているようです。
安全を確保することは、楽しいスキーを普及するのにもっとも大切なことです。全国スキー安全対策協議会は、スキーに関係のあるすべての団体が、一つのテーブルを囲んで、この大切な安全を高める方法を研究し、話しあうための会です。
全国統一標識・統一表示マークの制定、スキー場の行動規則の制定、スノースポーツ安全基準の制定、傷害実態の調査、ポスターの配布
この会では、平成28年2月1日から2月28日の1ヶ月間、全国47スキー場から報告があったデータを集計・分析した報告書を発表しています。この報告書では、受傷件数や各種割合などのデータを掲載していますが、少し注意が必要です。というのも、全国47スキー場とありますが、毎年必ず同じスキー場ではないようです。(一部変更があるようです)また同じスキー場であってもリフト運行状況等が異なり、毎年完全に同じ状況ではありません。つまり、経年的なデータの変化を確認することはできますが、ちょっと比較検討する際には注意が必要です。下に一部のデータをご紹介します。
受傷件数
さて、まずは受傷件数から。スキーでの受傷者は、1286人。一方でスノーボードでの受傷者は、1862人だそうです。結構な数がいるというのが、正直な感想。
上のグラフは、毎シーズンごとのスキーとスノーボードの受傷者割合を示したグラフです。毎シーズン、スキーヤー4割、スノボーダー6割。これはなんとなく印象通りという感じです。しかし、毎年スキーヤーが減って、スノーボーダーが増えているからデータ的にどうなの?と思われるかもしれません。次に下のグラフを見ると、スキー場でリフトで運んだスキーヤー、スノーボーダーの割合を示していますが、こちらもほぼ毎年変化していません。つまり、スキーヤーとスノーボーダーの割合に変化はないことから、受傷者割合も妥当なものかと思います。
受傷率
次に受傷率を見ます。受傷率は、リフトでの輸送延べ人数に対する受傷者数で算出しているそうです。受傷率が0.01%であると、輸送人数1万人に1人の受傷者ということになります。毎シーズン、スキーは0.01%弱、スノーボードは0.01%強でほぼ横ばい。スキー、スノーボードともにギアが発達したにも関わらず、減らないものなんですね。
受傷部位と傷害の程度
次は、受傷部位です。スキーでは、上位から膝、下腿、肩、頭部、足首。スノーボードでは、上位から手首、肩、頭部、膝、腰。転倒の仕方の違いがあるので、やや部位が異なりますね。スキーの場合は、ストックがある分、手首の傷害が少なく、一方でスノーボードの場合は、手を着くため手首の傷害が多いですね。肩や頭部は、どちらも多い。やはり、頭部の傷害は多いのです。やっぱり、ヘルメットは必要だ。
次に受傷した際の重症度です。スキー、スノーボードともに軽傷や重傷よりも中等傷が多い。スキーとスノーボードでは、スノーボードの方がやや中等傷が多い。さらに、受傷時に強く頭を打った疑いの有無を見ると、10%強の人があると答えている。やっぱり、ヘルメットは必要だ。
ヘルメット装着率
下のグラフは、受傷時にヘルメットの装着の有無を示しているが、装着していたのは、スキーヤーで37%、スノーボーダーで13.9%と低く、全体でも23.2%と装着率は低い。このデータは、受傷した人のなかでのデータであるので、実際にスキー場にいる人全体でのデータはもっと低いのではないか。あくまで印象ですが...。
今回、データを見て、自分はやはりヘルメットが必要だという思いが強くなりました。早速、購入します。